ぱく痛みとからだの研究所です!
今回は上殿神経とお尻の痛みについて解説します。
医師も含め多くの医療者が、上殿神経による障害をあまり意識したことがないかもしれません。
しかし注意深く診ていくと、上殿神経の障害による上殿部痛や大腿外側部痛を有する患者はどの施設にいても一定数はいると思います。
そこで今回は、上殿神経障害を診る際に必要な解剖学的な知識と検査のプロセスを紹介したいと思います。
まずは上殿神経の解剖から確認していきましょう。
下の図を見てください。
上殿神経は、仙骨神経叢(L4〜S1)から分岐し、一旦、骨盤内に入って梨状筋上孔から殿部上外側を走行し、中殿筋と小殿筋の筋間を走行します。
その後、大腿筋膜張筋を貫いて皮神経となり、大腿外側の皮膚知覚を支配しています。
そのため、上殿神経障害を生じると、上殿部痛から大腿外側部に痛みやシビレを生じることが多いです。
つまり、問診の中で「痛みやシビレが上殿部痛から大腿外側部だけに生じている」と訴えがあった場合には、上殿神経障害による症状の可能性あります。そのため、こうした訴えがあれば、上殿神経障害の可能性を踏まえ、評価を進めることが大切です。
上殿神経障害が疑われた場合に、私は第2水準の評価として、下図の股関節内転運動をよく利用します。
前述した通り、上殿神経が殿部上外側から大腿外側の皮神経となるため、股関節内転運動で強く伸張されます。
この運動で疼痛や左右差を誘発することができれば、施術後に評価としてもこのテストを利用します。
そして実際の治療部位ですが、絞扼部位として多いのは、
梨状筋上孔、中殿筋と小殿筋の筋間、転子部付近の大腿筋膜の3ヵ所だと思います(下図)。
このうち、前者の2箇所は特に絞扼を生じやすく、実際にこの2ヵ所の滑走性を促すことで、上殿神経障害による症状がその場でかなり改善することは、臨床でよく経験します。
辛い症状でお困りなら、一度お気軽にご相談ください!
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